カモシカの肉はとにかくウマイ!・・・らしい。

 2月15日で秋田県内の狩猟は終わった。何かが終わると、すかさず「反省会」と称して大酒をくらうのが秋田県人のいいところ。我々、鉄砲ぶち仲間も2月16日に「大反省会」を開催した。
 各人が持ち寄った獲物(ウサギ・クマ・エゾジカ)をつつきながら猟期の自慢話におよぶのだが、今年は話題があらぬ方向にそれてしまった。2月中旬から県内各マスコミを騒がせた「カモシカを食べた人たち」に話題が集中してしまったのだ。

「いいべせ、半矢(ケガをしている)のカモシカつぶして(殺して)食ったって。食ってやるってことは、葬式を出してやるごどだ」
「んだ、んだ。歩げねカモシカそのままにしておけば、他の動物に食われてしまうだけだ。人間が食ったっていいべせ。」
「んだ、んだ。五城目町の鳥獣保護センターさ連絡へ、っていわれでも、そんたらカモシカだばいっぺいる。保護センターも満員になってしまう」
「んだどもよ、7,8歳のカモシカっていってだな。なんぼシネ(固)がったべ・・・」
 とにかく我も我もと話をしたがる。そして全員が口をそろえて
「つかまった八森の土方だぢも運が悪かった。気の毒だごと・・・」というのだった。

 確かに一時期カモシカは激減し、『天然記念物様』になってしまった。しかし今は違う。人里近くに「てんこ盛り」で生息しているのだから。2〜3年前には JR秋田駅前を散歩しているカモシカが目撃されている。秋田市のど真ん中の千秋公園にも、しょっちゅう出没している。

 当日、「反省会」に参加したのはボク(46才)以外はみんな年寄り。今では時効になった、おもしろい話が次々に出た。(決して、この人たちがやった話ではない。知り合いがやった話である。知り合いが食べた話である。)

「カモシカは臭いっていうども、あれは内臓を破ればのごどだ。肉だげ、そくっと取れば、そんたに臭ぐもねえもんだと」
「カモシカ撃つなだば簡単だと。あのブタみでな体で雪の中埋まりながら歩いでるもの。ウサギ撃つ方がずっと難し。カモシカ撃つ時だばよ、大きなヤツ撃てばダメだ。肉がシネ(かみ切れない)もの。できるだけ若げヤツ撃つごどだと。毛皮が白くてコロコロした体のヤツがいいんだと。肉も柔らげしよ」
 そういえば、そうである。親牛より子牛。マトンよりラム。卵を産まなくなったババ鶏より若鶏。やはり年寄りより、若い方がうまいのだ。

「んだどもよ。あの八森の土方だち、何と料理したもんだべ・・・」と仲間の一人が料理方法について話し出した。
「たぶん、味噌味の鍋だべ。秋田だばなんでも『味噌貝焼き』だものな、ハ、ハ、ハ・・・」
「あんたら年寄りのカモシカだば、焼き肉にした方がいがったべな。鍋にせば、シネくて食われねど」
「若げカモシカのヒレ肉をよ、ステーキにして食えばウメって話だ。若げヤツはよ、肉も柔らがくて、きっと大したウメど。牛の仲間だべ、カモシカはよ。高級ステーキみでなもんだど・・・」
言っておくが、ボクを含めて仲間も決してだれも食べてはいない。あくまでも聞いた話である。念のため。

 そのうちバクダン発言が飛び出した。
「カモシカ食って捕まるごったらよ、○○中学校の先生だちだば、みんな逮捕されねばいげね。もう時効だべども、あの学校の先生方だばよ、校長以下全員カモシカのカレーライス食ってるど!」と、元インテリ氏が発言。これには一同びっくりしてしまった。
 あまり詳しく書くと学校名が分かってしまうのでこれ以上は書けないが、証拠の品の剥製は今でもその学校に残っているという。○○中学校である。その学校はボクも知っている。
またまたビックリ発言が飛び出した。
「○○署の元の署長だばよ、警察に届けられたカモシカからツノだけ取って、自分で持ってるど」
これも信頼できる話だ。

 ところで、お隣の山形県ではすでにカモシカの有害駆除が始まっている。お上が認めた上での「ズドン」である。仕留めたカモシカは調査後、埋葬とか。そんなバカな話があるかい。撃ったら、食えよ。特にヒレ肉のステーキはウマイ。(焼き方はレアに限る。)モモ肉は干し肉、いわゆるビーフジャーキーがウマイ。・・・という話だ。
 繰り返して言うが、小西一三は絶対カモシカを食っていない。仲間も絶対食っていない。信じてくれますか?



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