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問題の作業員たちが起訴されたのが3月1日。この翌朝、各新聞にこの件についての記事が掲載されました。 以下に秋田魁新報、読売新聞秋田県版、朝日新聞秋田県版の各記事をそのまま転載します。 事件の概要を理解すると共に、各社の事件に対するスタンスやニュアンスの違いもお楽しみ下さい。

●秋田魁新報(まったくのベタ記事扱い)

カモシカ捕まえ食べる
作業員7人を送検能代署

 能代署は1日、特別天然記念物のニホンカモシカを捕まえて殺し、なべ料理にして食べた能代市、八森町、峰浜村の40歳から66歳までの男性土木作業員7人を文化財保護法違反と鳥獣保護法違反の疑いで地検能代支部に書類送検した。
 調べでは、2月3日昼過ぎ、八森町雨降場の町道真瀬線改良工事現場で作業員(50)=能代市=が足にけがをし動けなくなった体長約120センチ、7−8歳の雄のカモシカを発見、捕獲。もう1人の作業員(53)=同=がカモシカの両手足を縛り、砕石機械に逆さづりにして刃物で殺した疑い。この2人と他の5人の作業員は、解体したカモシカを同5日昼過ぎ、工事現場でなべ料理にして食べた疑い。
 保護を目的としないカモシカの捕獲は通常、長寿保護法違反(6ヵ月以下の懲役または20万円以下の罰金)、傷つけたり殺したりし滅失すると文化財保護法違反(5年以下の懲役・禁固または20万円以下の罰金)に問われる。

●読売新聞秋田県版(見出しに白抜き文字を使用)

ニホンカモシカ密猟し食べる
作業員ら7人書類送検   文化財保護法など違反容疑

 能代署は1日、天然記念物のニホンカモシカを密猟して殺したとして、能代市の土木作業員(53)と、同市や八森町、峰浜村の会社員ら6人を文化財保護法、鳥獣保護法違反の疑いで地検能代支部に送検した。
 調べによると、7人は2月3日午後2時ごろ、共謀して八森町雨降場の林道工事現場で、けがをして動けなくなっているニホンカモシカ1頭(体長約90センチ)を発見、狩猟の許可を得ていないのに捕獲して殺した疑い。カモシカはその場で解体され、数日後、7人は現場近くの山中で、なべ料理にして煮て食べたという。
 作業員らは、カモシカが騒がないようっくちに粘着テープを張り、両手足をロープで縛って逆さづりにした後、刃物でのどをかききって殺していた。また、頭部や骨や皮は近くの地中に埋めていた。
 7人は林道工事の下請け業者の同僚ら。「雨降場の林にたくさんの人が集まって酒を飲んでいる。飲酒運転の疑いがあるのでは」という通報があり、同署員が現場に向かったところ、作業員らが「カモシカを食べた」と供述したため、事件が発覚した。
 この日、地検能代支部には、証拠品としてカモシカの残がいも送られたという。八森町は関係者に始末書を提出させ、厳重注意を行っている。

●朝日新聞秋田県版(見出しに白ブチ文字を使用、記事全体に囲みつき)

「禁断の味 誘惑に負けた」  ニホンカモシカ事件
  7人書類送検

 八森町雨降場の町道工事現場で、特別天然記念物のニホンカモシカを殺しナベにして食べたとして、能代署は1日、能代市や山本郡に住む作業員7人を文化財保護法違反と鳥獣保護法違反の疑いで秋田地検能代支部に書類送検した。調べに対し7人は、「禁断の味覚の誘惑に負けた」と弁明しているという。
 調べによると、作業員7人は2月3日、けがをしてうずくまっていたカモシカ1頭を捕獲。翌日、近くの休憩所で殺して皮をはいで解体後、5日にナベにして食べた疑い。
 当初は「可哀想だ」と保護しようとしたが、北海道でシカを食べたことのある作業員の提案でナベにすることになったらしい。7人は「今になってみると大それたことをしてしまった」と漏らし、反省しているという。
 ウシ科のニホンカモシカは、牛肉に近い味がするともいわれる。「においがきつくて野菜と一緒でないと食べられなかった」という作業員もいれば、気に入って2杯食べた作業員もいたらしい。
 



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