2000年3月
●●● 寒風にさらして干し上げる昔ながらの手造り干し餅 ●●●
 七輪の上にのせ遠火でひっくり返しながら焼くと、二、三倍の大きさになる。「焼かせて、焼かせて」と、子どもたちも大喜び。食べるとサクサクして素朴な味がする。この干し餅を作っているのは、象潟町の「関加工グループ」の方々だ。
「私ら子どもの頃は毎日のおやつがこれ。あの味が懐かしいなということで、20年ほど前から作り始めました」と会長の須田ヨノさん(68)。同グループの会員は現在11人で全員が60歳以上。このおばあちゃんたち(失礼)がキネを振り上げて餅をつくのだから驚かされる。とにかくお元気だ。
「寒い時に干し上げるもんだがら、こうやって餅をつくのは1月と2月だけ。1日に10ウスはつくすな」と須田さん。いくら交代でつくとはいえ、お年をめした女性たちが1日10回も餅つきをするとは…。
 餅の中にはゴマ、大豆、地元で採れる海藻のアオサ、砂糖などが入っており、つき上がった餅は木型に入れて一晩おく。切りやすい固さになったところで型から出し、包丁で薄く切る。切った餅は金網にのせて屋外で10日ほど乾燥。カラカラになったところで稲ワラで編み、それを吊してさらに干し上げる。
「お日様に当てれば餅が割れてしまうから、風通しを良くした小屋の中で干すの。暖かくなる前に干し上げるから、吊しておくのも3月いっぱいだすな」
「餅をつくのはキネとウス。大豆をつぶすのはすり鉢とすりこ木。機械を使えば昔の味が出ねすもの」と須田さん。
 昔ながらの干し餅は1連22枚で450円。「鳥海ほし餅」の名で、象潟町の「道の駅」で販売されている。
干し餅1 干し餅2



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