2000年4月
●●● 満80歳 健康の秘訣は旬の海藻と適度な労働にあり ●●●
 男鹿市南平沢に住む佐藤政五郎さんは大正9年生まれの満80歳。そんな政五郎さんが船の後部から身を乗り出し、片手で船外機を微妙に操作しながら船を前後左右に動かす。もう片方の手で大きな箱メガネをつかみ、顔に押し当てるようにして海底のアラメ(褐藻類コンブ科の多年生海藻)を探す。
 3月中旬。春とはいえ海を渡る風は冷たく、船は時に大きく揺れる。見つけると先端がふたまたになっている長い棒に持ち替え、水深3メートル前後に生えているアラメを先端に巻きつけるようにして船の上に引き揚げる。どう見ても、満80歳の方の動きとは思えない。
「ここ(男鹿半島南磯一帯)は春の彼岸にアラメを食べる家が多いな。細かくきざんだものを1回煮てアクを抜く。それに人参、ゴボウ、油あげなどを入れて油でいため、醤油と砂糖で味をつけるんだ」
「細かくきざんだものを、熱い味噌汁にパッと放してもいいな。この茶色のアラメが緑色になって、粘りが出てくる。独特の香りがまたいいんだ」と政五郎さん。県内陸部に住む人たちにとってはなじみの薄い海藻だが、男鹿半島南磯の人たちにとっては春の到来を告げる早春の味といえる。
「4月になれば固くなってしまうので、アラメは3月いっぱい。4月の第2日曜からは天然ワカメの解禁。その頃になれば本当の春だ」
 政五郎さんは漁業一筋、30年程前には漁業指導でカナダまで行ったこともあるとか。現在でもナギの日は毎日のように近くの海に出て、さまざまな漁をする。
 旬の海藻をたっぷり食べ、適度に体を動かす。これが健康の秘訣のようだ。
アラメ1 アラメ2



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