2001年11月
●● 大の大人が口角泡を飛ばす『とろろまんま』談義 ●●
 「何?醤油だしのとろろまんま?そんたの初めて聞いた」。「冗談だべ、味噌汁でとろろまんま作るって?」と、お互いに不思議そうな顔をする。このように県内のとろろまんま(ご飯)には、醤油味派と味噌味派が存在する。
 ボクの知る限りでは秋田市や仙北郡、県北はどちらかというと醤油味派。本荘・由利地方は圧倒的に味噌味派が多いようだ。
 由利郡矢島町(ゆりぐんやしままち)の松田美博さんは、とろろまんまが大好物。もちろん味噌味派だ。
 「自然藷(じねんじょ)が手に入らない時は山の芋(ツクネイモ)かイチョウイモ。これは粘りがあるからいいども、ナガイモはダメ。あれはザワザワしているから、とろろまんまには向かねすな」と松田さん。
 おろし金ですりおろしたイモを、すり鉢で丹念にする。これに昆布と煮干しだしの味噌汁を加えて、さらにする。ここまでの作り方は由利地方の各家ともほぼ同じだというが、これから先は異なる。
 「最後に、畑から抜いてきたばかりのネギをきざんでぱっと入れ、軽くかき混ぜれば終わり。熱いご飯にこれをかけ、ノリをさっと散らす。小皿には、しょっぺ(塩辛い)ボダッコ(塩ザケ)を一切れ。昔からこういう食い方だな」と松田さんはおっしゃる。
 「ボダッコはほぐして飯に乗せ、その上にとろろ、さらにその上にネギとノリをかける。この食い方が一番ウメな」とは同じ由利郡の別の人の話。このように同じ味噌派の中でもネギをあらかじめ入れておくか、最後にかけるか。ボダッコは切り身のまま出すか、ほぐしてかけるかなど、とろろまんまを巡る会話はしだいに熱をおびてくる。
 そして最後には「いやー、とろろまんま食いでぐなった。山さイモ掘りに行ご」となる。11月はヤマイモ掘りのシーズンまっ盛りだ。
とろろまんま1 とろろまんま2



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