2002年4月      ●●● 手を加えず見守る福寿草は 「町の天然記念物」 ●●●

フクジュソウ  雪解け後の、春一番の花といえば福寿草だ。寒さに耐えながら黄色の可憐な花を咲かせる姿は、なんともいじらしい。県内各地に自生地はあるが、その中で最も早く咲き始めるのは金浦町(このうらまち)の大竹地区。最近はその開花がテレビや新聞などの季節ネタとして毎年のように紹介されている。
 大竹地区に住む「金浦町野の会会長」の須藤兵一さん(65)の話によると、福寿草の花の盛りは例年、春のお彼岸の頃。開花は早い年でも3月15日頃だという。
 「ところが今年は2月28日頃から咲き始めました。長年この花を見てきたけど、2月中に咲いたなんて初めてのことです。それだけ今年は暖かいということでしょうな」と須藤さん。
 大竹地区では雑木林の斜面にある群生地のほか、民家の庭先のあちこちでも福寿草を見かける。
 「ここは土壌が適しているのか、鉢植えの福寿草を畑や庭のちょっとした日蔭に植え直すと、けっこう増えるんですよ。かといって、これを鉢植えにして出荷している農家もありませんけどね」
 「私らが小さい時、春先に遊びでこの花を摘んで持ち帰ると、『この花っこは毒だ。手が腐るど!!』って、しかられたもんです。後で知ったんですが、福寿草はあの毒草のトリカブトと同じキンポウゲ科。同じような毒があるんですな」と須藤さんは笑う。
 地元の人たちがそっと見守り続けてきた群生地だが、広く知られるようになるにつれ盗掘が急増。群生地が荒らされることを心配した大竹地区と町では10年ほど前から一帯の福寿草を「金浦町指定天然記念物」とし、採取を禁じている。
 「正月用として鉢植えも出回ってますけど、やっぱり寒さに耐えて咲く自然の花の方が感動的。特に、なごり雪がさらっと降った翌日なんか、雪を解かしながら咲いているように見えて、これはもう最高。何度見てもいいもんだすな」
 最近では盗掘も少なくなってきたという。


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