2002年3月 |
●●● なんとも手間のかかる早春の味、ヒロッコの出荷 ●●● | |
ヒロッコは秋田の早春の味。アサツキとも呼ばれているが、秋田では雪の下から掘り出す、まだ太陽を浴びていない白っぽいものを好む。湯沢市相川地区は昔からのヒロッコの産地。2月中旬、積雪は平均1メートル、多い所は1.5メートルもあった。収穫はこの雪を掘る作業から始まる。 「雪を掘るのが 一番大変だな。でも、この厚い雪のお陰で土は凍らねし、白いヒロッコが育つんだ」と栽培農家の近田栄一さん(56)は言う。 栄一さんはスコップで雪を掘り終えると、次はクワを手にして土を掘る。奥さんの弘子さんは黒々とした土の中からヒロッコを集め、土をほろって大きな袋に詰め込む。収穫したヒロッコは自宅近くの水路まで運び、土をしっかり洗い流す。 「寒びだの冷めでなの言ってられねよ。仕事だもの」と弘子さんは笑うが、見ているこちらはブルブルだ。 洗い終わったヒロッコは自宅へと運び、今度は根切りの作業だ。コタツの置かれた部屋には、おばあちゃんのマサヨさん(78)と手伝いの近所のかあさんが二人。山のように積まれたヒロッコを前に黙々と作業を続けている。 「これがまた手間でな。父さんと母さん(栄一さんと弘子さん)が半日かけて掘ったヒロッコの根っこを切るのに、朝から夕方の五時頃までかがる。昼過ぎからは母さんも手伝うから、三人半でだよ」。マサヨさんはメガネもかけず細い根を切り続ける。切り終わったヒロッコは大きなザルに入れて、細い根1本も残さないよう真水で4回も洗い流す。 「ヒロッコって、きれいな場所で育つんでしょ。だからツヤツヤしてきれいなんでしょ」と、のたまう横手市の婦人がいた。 奥さん、奥さん。ヒロッコは水耕栽培じゃありません。一度、相川地区に収穫風景を見に来て下さい。 | |
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