2004年 11 月  ●●● あぜ道を跳ねるイナゴの群れは安心安全な米を作るため ●●●

イナゴ  稲刈り後の大潟村。田んぼのあぜ道を歩くと、足元から無数のイナゴがバサバサと跳び出てくる。元気よく飛び跳ねるイナゴを見ていたら、狩猟採取の本能が刺激されてしまった。そうだ、イナゴの佃煮を作ってみようと捕り始めたが、「それは効率が悪いですよ。手で捕るんだったら気温の低い朝方のほうがいいですよ。動きがにぶくて簡単に捕まえられますから…」と案内していただいた大川澄雄さん(60)に笑われてしまった。
 「この前なんか、オートバイに虫捕りの網を2つくくり付けてあぜ道を走っている人がいましたよ。オートバイに驚いたイナゴが跳ね、その中の何匹かが勝手に網の中に入るという仕掛け。走り回るだけでイナゴが捕れるんですから、よく考えたもんですね」と大川さんは感心する。
 大潟村の農地に大量のイナゴが生息するようになったのは、村が一丸となって環境保全型の農業に取り組み始めてから。空から農薬を散布する航空防除は18年ほど前に中止。以来、手間はかかるが農薬や化学肥料の使用を極力控えた農業を行っている。イナゴの大量発生はその証だというのだ。
 イナゴは稲の葉を食い荒らす害虫なのでは?と聞くと「ある程度葉は食べられるけど、収穫期のモミは食べない。葉が食べられて収量が少々落ちてもそれは仕方ない。安全、安心の米を作るためだから」と村の人たちは割り切っているという。
 ところで、イナゴといえばやっぱり佃煮が目に浮かぶ。「私は熊本県出身ですけど、作ったことはない。あれって茹でてから1匹1匹足をもいだり、かなり手間がかかるらしいですね。でも、村内には自家用に佃煮を作っている人がけっこういますよ」と大川さん。イナゴの群れを見ていたら、ボクも佃煮を作ってみたくなった。


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