1999年7月
●●●●● 梅の実をとらないでください ●●●●●
 おもしろい看板を見つけた。「梅の実をとらないでください」。場所は秋田市浜田にある梅林園だ。
 この梅林園は昭和44年、市政80周年を記念してつくられたもので面積は6ヘクタール。その中の3ヘクタールに梅を主体に桃や杏が植えられている。色とりどりに咲き誇る花を愛(め)でるための公園だが、中には立派な実をつける木々もある。これが問題の種だ。
 市民の憩いのための公園だが、梅の実は秋田市のもの。誰が採ってもいいというものではない。梅の実の行き先を聞いてみた。
「市内の福祉センターなどにプレゼントするようにしています。去年はそろそろ採り頃かなと思ったら、1日でペロッと無くなってしまって。残ったのはわずか12キロ位でした」と管理人の高橋さんは本当に残念無念といった表情。
 でもその12キロの梅は秋田市新屋(あらや)にある「秋田いなほ会福祉作業所」にプレゼント。同会では父母の応援を得て梅漬けをつくり、バザーで販売。「昔ながらの味がする梅漬け」と大評判だったという。
 この「秋田いなほ会福祉作業所」の13人の所員は、毎週1回ボランティアで、梅林園の草とりや清掃活動を行っている。
「あの子たちの活動に報いるためにも、また他の施設にプレゼントするためにも梅の実を守りたい。だから今年から看板を設置することにしました」
 高橋さんは鳥のいやがる磁石を自宅から持ってきて園内のあちこちに吊すなど、鳥対策にも余念がない。
「去年は朝早く来て採っていく人もいたので、今年は私も夜明け前には出勤するつもり。勤務時間など関係なし、私もボランティアですよ。何が何でも梅の実を守り、あの子たちに梅の実採りを体験させてあげたい」と高橋さんは気合い十分。
 お願いです。「梅の実をとらないでください」。
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