2000年7月 |
●● 秋田県人は「粘り」大好き夏の定番は「ミズたたき」 ●● | |
秋田県人は、とにかく「たたいて粘りを出す」料理がお好きなようだ。 冬から春にかけては、ギバサに熱湯をかけてから包丁でトントンたたき、あの強烈な粘りの食感を楽しむ。ギバサの正式名称はアカモクというが、この海藻を好んで食べるのは全国広しといえども秋田県だけという。 春になってワラビが出始めると、アクを抜いてからトントンたたいて「ワラビたたき」を作る。ギバサもワラビも粘るか粘らないかが評価の分かれ目。どちらも粘らないものは失敗作とされ、責任はその産地のせいにされてしまう。 さて、これから真夏にかけて「たたく」のはミズ(ウワバミソウ)だ。県内には赤ミズと青ミズがあるが、青ミズを好む人はほんのわずか。圧倒的に赤ミズの人気が高い。根元の赤い部分が粘るからだ。 ミズには油いため、味噌汁の具、漬け物などさまざまな料理方法があるが、人気No1はやっぱり「ミズたたき」だろう。 ざっと湯通ししてからたたく人と、生のままたたく人がいるが、それは好みの問題。とにかく根元に近い赤くて太い部分を徹底的にたたき、粘りが出てきたところで味噌や薬味を加えて味を調えるだけ。中には、たたいたものをすり鉢に入れてすり、さらに粘りを増そうと努力する人もいる。 薬味はニンニクやショウガが一般的だが、県北地方では玉ひろこ(ひろっこの球根)をすり鉢でつぶして入れる家庭も多いとか。また、県南地方ではサンショの葉を細かくきざんで入れる家庭も多いという。 これからの季節、台所からトントンたたく音が聞こえてきたら、それは「ミズたたき」を作っている音に違いない。 | |
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