1999年8月
●●●●● 夏の味覚「岩ガキ」の徹底した品質管理 ●●●●●
 かつては象潟(きさかた)や金浦(このうら)など地元以外には出荷されることの少なかった「岩ガキ」だが、今や秋田県沿岸の夏の味覚としてすっかり定着した感がある。
「カキは冬の食べ物でしょ。真夏にカキを食べるなんて…?!」と不思議がった県外の観光客も、現在では岩ガキのうわさを聞いてくるらしく「どこに行けば岩ガキを売ってくれるの?」と聞いてくるほどだ。
 名声が高まるにつれ各漁協では商品価値を高めようと、衛生管理や品質管理に力を入れるようになった。
 例えば象潟や金浦などの漁場を抱える秋田県南部漁協では1週間に1回、水揚げされた岩ガキの一部を抜き取り、大腸菌などの一般細菌と貝毒の検査を実施している。それも食品検査協会に依頼するものと漁協自ら行うものとの二重チェック体制。加えて、平成9年からは出荷用の箱に「採捕船名」「保存方法」「品質保持期限」などを明記。なんとも徹底した衛生・品質管理だ。
「岩ガキはよ、海から揚げても10度以下で保管しておけば10日位は生きてるもんだ。んだどもよ、殻が割れだり欠けたりすれば中の身が空気に触れて死んでしまう。こうなればダメだ。
 だがら、箱詰めの時は一個一個確かめてから入れる。なんせ自分の名前を書いて出荷してるもんださげ、苦情がくれば自分の信用にかかわるからな」と金浦の漁師・渡部広さん(47)は言う。
「おらほの海はよ、所々、海底から真水がわいている場所があるんだ。そういう場所のカキは、塩水だけの所のカキより確かに甘みがある。だから人気があるんだべな」と渡部さんは自慢する。
 岩ガキは8月いっぱい出荷される。
岩ガキ1 岩ガキ2



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