2000年8月 |
●● ウニの殻むきは全て手作業 熟練者の手技だけがたより ●● | |
アワビやサザエなどは貝殻のまま売られているが、ウニはそのままの姿で店頭に並ぶことはめったにない。中の身をきれいに取り出すことが難しいからだ。 ウニの黄色の身は卵巣の部分で、殻の内側に五つの卵巣がへばりついている。この細長い卵巣をカタチを崩さずに取り出すのが腕の見せどころだ。 男鹿市椿漁港の近くの三高水産で作業を見せてもらった。作業場にうずたかく積まれているムラサキウニは、もちろん地元の男鹿産。契約している漁師さんが素潜りで捕ってきたものだ。6人の女性が水に浸したザルを前にして、長い柄のついたスプーンと大きなピンセットを交互に動かしている。 「あの水は塩水、海水と同じ塩分濃度です。ウニの身を真水に入れるとベトベトに溶けてしまいますから」と代表の夏井勝博さん(44)。ウニの鮮度を保つため、水温は常時3度に保たれている。 特殊な器具で二つに割ったウニを片手に持ち、殻の内側に沿ってスプーンを動かして中身をそっくり取り出す。次に大きなピンセットに持ち替え、黒っぽい内臓部分を水中で振り分けるようにしてつかみ出す。話し声などは一切聞こえない。緊張感がひしひしと伝わってくる。 「日本全国、どこの加工場でも同じ手作業です。機械化は、まず無理。熟練の手だけが頼りです。あの人は上手だと言われるようになるまで、3年位はかかりますかね」と岩井さんは言う。 「東北では岩手県三陸のウニが有名ですが、味は男鹿産の方が上だと思ってます。秋田県人の大好きなギバサ(アカモク)やアラメなどをエサとして食べていますから」 三高水産の生ウニは地元の宿泊施設はもちろん、秋田市内にも出荷されている。 | |
前年同月 | ||
前月 | INDEX | 翌月 |
翌年同月 |