1999年10月
●●● 新鮮な鮭1本500円 食べてこそ鮭は報われる ●●●
 象潟(きさかた)町の川袋(かわぶくろ)川は河口付近でも川幅が3メートル前後の小さな川だが、鮭の捕獲量は秋田県で一番。昨年度は約14,500本の鮭を水揚げしている。これは毎年約430万匹前後の稚魚を放流してきた結果だ。
 鮭を捕獲する「ヤナ」は河口からわずか200メートル上流に設置されており、橋の上から川をさかのぼる鮭の群れをみることができる。
「最盛期になれば河口からヤナまでの間が鮭でまっ黒になるほど。鮭が入り過ぎてヤナの底に足が着かない時もあったすな」と、川袋鮭漁業生産組合の池田昭二郎組合長。
 ヤナの近くには6本の鮭の供養塔が建てられている。「昔から漁師たちの間では『鮭千本殺せば、人1人殺したのと同じだ』と言われていたもんです。それだけ鮭は貴重で尊いものだったんです。だから組合では平成6年から毎年のように供養塔を建て、地区のお寺の住職にお経をあげてもらってるんす」と池田さん。
 それにしても残念なのは、せっかく捕獲した鮭が売れ残ってしまうことだ。同組合の主目的は鮭の採卵と孵化(ふか)事業。そのため、イクラの入っているメスは売ることができないが、オスは直売している。
「去年は1本500円で、採卵後のメスは無料サービス。後半はもっと安くしましたが、それでも大量に売れ残ってしまいました」と池田さんは嘆く。売れ残った鮭は組合員も食べ切れず、焼却処分されてしまうという。
 せっかく北の海からふる里の川へ帰ってきた鮭たち、これでは余りにもかわいそうだ。「川に入った鮭などマズくて食えたもんでねえ」という人もいるが、料理次第でおいしく食べられる。食べてやってこそ、本当の供養というものだ。
 直売に関する問い合わせは同組合(0184-46-2634)へ。
鮭1 鮭2



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