1999年11月 |
●●● 今も現役で活躍するハタハタ漁の木造船 ●●● | |
去年の12月9日夜、八森(はちもり)町岩館(いわだて)漁港で昔ながらのハタハタ漁を見た。それは今では珍しい木造船に8人の漁師が乗り込み、船べりぎりぎりまでハタハタを満載。「オッ、オッ、オッ」の掛け声と共にカイをこぎ、港を目指していた。明かりは8人の頭につけられたヘッドランプだけで、それが波間に揺れる。船はハタハタを陸揚げするや、再び夜の海へこぎ出して行った。 「ここは漁場が近いし岩場も多いもんだがら、やっぱり木船がいいな。これは浮力があるからハタハタもいっぺ積めるし、波にも強い。それにスクリューがねえがら網にもからまねえしな」と、漁師さんが木造船の利点を教えてくれた。 今年も、もう少しで季節ハタハタ漁が始まる。漁協で木造船の所有者の一人、庄内賢作さん(72)を紹介してもらった。 「この船は長さ30尺(約9.3メートル)、幅は最も広いところで6尺(約1.8メートル)。昭和38年に地元の船大工に造ってもらったもんです。確か34万円だったと思います」と庄内さん。 「昔は木箱で、1箱に10キロ。この船は1回の網起こしで200箱分のハタハタを積んできたもんです。最盛期には夜通し網を起こすもんだがら、それはもう…」と庄内さんは昔を懐かしむ。 1箱10キロで200箱とは、約2トン。それに8人の漁師が乗り、シケの海で操業したというから驚きだ。 「ハタハタの建網(小型定置網)は、やっぱり木船が使いやすいな。漁が終われば真水でしっかり洗って小屋にしまう。そうすれば何十年って使えるもんだ」 県民待望の季節ハタハタ漁がまもなく始まる。庄内さんいわく、「今年のハタハタは期待できそうだ」。 | |
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