2000年6月 |
●● 2カ月で姿を消すカタクリ あとの10カ月は地中で眠る ●● | |
「今年は4月23日まで咲いているものもありました」と指さした先には、あのピンク色の花はもちろん、だ円形の2枚の葉っぱすら見当たらない。「カタクリの広場」と書かれた看板の一帯は、まったく違う植物で覆われている。 地面すれすれに顔を近づけて丹念に探すと、緑色の草の中に白く色あせて腐れかかった2枚の葉を見つけることができた。その根本から1本の茎が伸び、先端には1.5センチ程の果実がついている。 ここは西目町孫七山(にしめまちまごしちやま)にある鳥海山麓有用植物園。東京からUターンしてきた岩城町(いわきまち)出身の佐々木俊一さん(52 )が、町役場や町内外の人たちの協力を得ながら管理している約2ヘクタールの植物園だ。 ここのカタクリの花の盛りは、4月中旬の1週間程。それから約1カ月でカタクリは葉も茎も全て姿を消してしまう。 「カタクリは雪消えと同時に葉を出し、花を咲かせて実を結び種を残すまで、たったの2カ月。この2カ月で栄養を蓄え子孫を残すということまで、全てやってしまうんですよね」と佐々木さん。 「木々の葉っぱが開いて日当たりが悪くなる頃には活動を中止して、地上から姿を消す。残りの10カ月は地下で休眠です」他の植物と争ってまで太陽の光を受けようとせず、春一番に太陽を浴びて、他の植物が活動を開始する頃には寝てしまう。なんともうらやましい生き方だ。 「でもね、カタクリは種が発芽してから花が咲くまで約7年もかかる。それなりに頑張っているんですよ」と、佐々木さんに笑われてしまった。 | |
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