2001年7月 |
●● はるばる北海道は羅臼からイカを追っては来たけれど ●● | |
6月から7月にかけて秋田沖をスルメイカの群れが北上する。この群れを追いかけて南は長崎県対馬から北は北海道まで、全国各地のイカ釣り漁船が集まってくる。 6月10日、秋田市の秋田港に北海道は羅臼の漁船・第二十八朝枝丸(19t)が入港した。 「羅臼港を出たのは7日。途中、難所といわれる襟裳岬はヤマセ(山から吹きおろす冷たい風)が強くて、近くの港に避難。津軽海峡も波が高くて、手前の港で1泊。土崎に入ったのは10日の午前。今回はしんどかったな」。こう語ってくれたのは船長の清水端昇さん(51)。弟で機関長の正利さん(50)と2人でやって来たという。 荒海を兄弟船で乗り切ってきたという根っからの漁師だが、船内での2人の表情はあまりさえない。いったい、どうしたというのだろう。 「.3月下旬まで流氷の海でスケソウダラの漁をしてたけど、年々、水揚げは少なくなるし…。それに今年もイカの値は安い。まったく、安くなる一方ですよ」と昇さんは半ばあきれ顔だ。 イカ釣り漁船は夜間ぶっ通しで仕事をし、朝に港に帰ってくる。イカを水揚げした後で軽く晩酌(朝酌?)をし、朝食後に船内の狭いベッドに潜り込むという昼夜逆転の生活が続く。 「イカを追って青森の小泊、北海道の江差、釧路と北上し、家族の待つ羅臼に帰るのは9月中旬だな」と正利さん。 「私らで4代目の漁師だけど、私も弟も子どもに漁師は継がせない。そう言う仲間は多いよ。苦労ばかりで収入は減るばっかりだもの…」。 そんな悲しいこと言わないで下さいよ、北海道からの客人。イカ刺しは冷凍の輸入もので、なんて冗談じゃない。毎日毎日、魚屋に新鮮でおいしいイカを買いに行きますから。 | |
前年同月 | ||
前月 | INDEX | 翌月 |
翌年同月 |