2001年3月 |
●● 粘るもの大好き県民 ギバサを食べるのは秋田だけ ●● | |
最近は加工・冷凍技術が進歩したのか、真夏でもトロトロにたたいたギバサのパック詰めが市販されている。しかしギバサは冬に食べる海藻。寒さが厳しくなるこれからが旬だ。 茶褐色のギバサは熱湯をかけると鮮やかな緑色に変わり、同時に独特の香りが漂ってくる。これを包丁でトントンと丹念にたたくと強烈な粘りが出てくる。あとは好みに応じて酢じょう油や味噌で味を調えるだけ。値段は安いし、手間をかけずに食べられるのがうれしい。 「兄さん、これ飛島産のギバサだ。粘るよ。ほら、なんばっこ(ナンバン)も付いてるべ」と、秋田市民市場内の松本商店のかあさんが声をかけてきた。なんばっこと呼ばれているのは葉の所々に付いている細長い実のようなもので、これが大きくたくさん付いている程よく粘るのだという。 県水産振興センターの海藻の専門家によると、なんばっこと呼ばれている部分は実ではなく単なる気胞。海中で茎を直立させる役目を果たしているのだという。またギバサの正式名称はホンダワラ科のアカモクで、全国広しといえどもこの海藻を食べているのは秋田県だけだとか。かつて県外にギバサを買い付けに行った業者は「誰も食べないこんな海藻をたくさん買ってどうするのか?」と聞かれ、恥ずかしくて食用とは言えず、とっさに「馬のエサ用だ」と答えたそうな。 「ハタハタのブリコもギバサも、秋田の人はとにかく粘るものが好きだものな」と松本商店のかあさんは言う。全国で唯一、ギバサを食べる秋田県。どうやら「粘り」好きに原因があるようだ。 | |
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