2001年9月
●● 廃材の有効利用から生まれた天然塩 ●●
 「塩づくりのため、廃材使います」と書かれた看板を男鹿市の道路沿いで見かけた。「今の時代にマキで塩なんて…」と半信半疑だったが、電話をかけて訪ねてみたら本当にそうだった。
 「釜に初めて火を入れたのは今年の7月15日、大安の日。まあ、予定通りに塩はできています」と、うれしそうに語ってくれたのは男鹿半島振興会の理事長・佐々木茂さん(65)。「なまはげの塩」製造の代表者だ。
 海水の採取は船川港から船で45分程走る男鹿沖。ここの海水はミネラルが豊富できれいだからだ。大型のポリタンクに入れて港まで運び、トラックのポリタンクに移し替え、男鹿市脇本の製塩所まで運ぶ。
 製塩所には3台のステンレス製の平釜が並び、少しずつ海水を蒸発させては隣りの釜に移し、3番目の釜で塩の結晶ができ上がる。
 「1トンの海水を煮詰めれば約30キロの塩と約10リットルの『にがり』が採れるども、最低10時間以上は火をたき続けるすな。これに使う廃材は2トン車1台分位だな」と佐々木さん。
 でき上がった塩をなめてみると、市販の食塩に比べ、まろやかな味がする。佐々木さんの話によると、海水から製造している純粋な国産天然塩は数例しかないという。価格は一般の食塩の約10倍で、1キロ千円。男鹿の主要な観光施設で販売している。
 それにしても大変なのはパート従業員の湊光子さん(60)だ。朝8時から夕方5時まで釜の前で火をたき続ける。火が安定している間はチェーンソーで廃材を切る。この日の最高気温は30度近く。さぞや夕食前のビールがうまかろうと聞くと「なんもだ。私だばビール飲まねもの。氷を入れた梅酒をちょこっとな」と湊さんは笑った。「なまはげの塩」に関するお問い合わせは電話0185-23-3570まで。
塩たき1 塩たき2



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