2002年9月      ●●● 日本一のミョウガ産地を支えるばあちゃんパワー ●●●

ミョウガ  白神の山々を背景に、濃い緑色をしたミョウガの葉が一面に続く。風が吹くと表面がゆるやかにうねり、まるで緑の海のようだ。その波の中から時おり白っぽいものがぽかりと浮かび、再び沈んでいく。
 「畑の中でしゃがんで採ってるもんだがら、立った時しか姿は見えねんだ」。こう教えてくれたのは能代市常盤地区で30年以上にわたってミョウガを栽培している工藤正徳さん(55)。現在、能代市を中心とする「JAあきた白神」管内には約205ヘクタールのミョウガ畑があり、ミョウガ部会の会員は約200人。工藤さんは約5.5ヘクタールで栽培している
 能代市で本格的な栽培が始まったのは戦後のこと。開拓事業で広い耕地が作られ、余った土地にミョウガを植えたのがきっかけ。かつては夏になると日中は家族総出で収穫し、夜は遅くまで選別と出荷作業。このようにして日本一の産地になったのだという。
 そして現在、この広いミョウガ畑を支えているのは、地元や近隣のばあちゃんたちだとか。
 「摘み採りはもちろん、自宅まで運んでからの水洗い、脱水、選別、パック詰めまで全部手作業。最盛期になれば摘み採りだけで10人近くの手伝いを頼まねばならねすな」と工藤さんは言う。JAの担当者も「キャベツやスイカは重いども、ミョウガは軽いすべ。それに仕事もていねいだし」と、ばあちゃんたちの頑張りに敬服する。
 「白神のみょうが」の名前で首都圏や札幌、仙台などに出荷されているだけに品質管理には神経を使う。ミョウガ部会の資料には「その一粒が産地を潰す!」という標語も見える。今年からは品質の劣ったパックを出荷した生産者には「イエローカード」を発行するなど、産地間競争に打ち勝つため今まで以上に品質管理を徹底している。それだけに、ばあちゃんたちの仕事は真剣そのもの。日本一の産地は、ばあちゃんが支えている。


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