2002年6月      ●●● 体験して痛感した 「笹巻き」作りの難しさ ●●●

タコ  旧暦5月5日(今年は6月15日)は端午の節句。屋根や軒先にショウブをさし、ショウブ湯をたてる家も多いはず。もう1つ欠かせないのが、笹巻きだ。
 5月初旬、秋田市新屋勝平町の小野ナオさん(70)に笹巻きの作り方を教えていただいた。笹の葉は無理にお願いしたボクが近くの山で採ってきたものだが、「本当は1か月も後だもの、笹の葉はやっぱりまだ小せえなぁ」と言いながらも、さっそく作業開始。
 まずは笹の葉を洗い、もち米もさっと洗う。「私の実家でだば、うるがした(水に浸しておいた)米を巻いですぐに煮たもんだども、嫁に来たこの家でだば、巻いでがら6時間以上うるがして、それがら煮る。そのほうが形もきれいに仕上がるということだべな…」と、ナオさんは言う。
 ボクの母親は大きい笹の葉の場合は一枚で巻いていたが、ナオさんは常に2枚重ねて巻いていく。「なんぼ大きくても2枚重ねるよ。葉の裏を合わせるようにせば、両面ともツヤツヤしていてきれいだべ。本荘・由利の方でだばフタにもう1枚。全部で3枚の笹の葉を使うって言ってたな。ぺったらっこい(平たい)笹巻きを作る人もいだな」。このように同じ県内でも、さまざまな作り方があるようだ。
 気をつけなければならないのは、入れる米の量だという。「パンパンに詰めれば、煮た時に米がふくれて笹の葉が破れてしまうべ。7分目から8分目の見当だな」と説明しながらもナオさんは器用に巻き続ける。
 「一番難しいのはひもでしばる時だな」と言いながらひもの端を口でくわえ、右手でくるりとひもを回し、ひざの上においてきちっと結ぶ。「だがら、ばあちゃんだちなの『歯がねぐなったがら笹巻き、巻がれねぐなったはー』っていってだもんだ」とナオさんは笑う。 
 手先の器用さに多少自信のある妻も巻いてみたが、まるでダメ。米はこぼれるし、うまく結べない。やはり砂を使った練習が必要なようだ。


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