2002年8月      ●●● 忙しいけど楽しかった・昔のお盆 ●●●

昔のお盆  各家庭にとって、年間の2大行事といえば、やっぱりお盆とお正月。そろそろ、そのお盆がやってくる。
 「今だばお盆の準備もだいぶ楽になったども、昭和の35年頃までは忙しがったよ。この奥にある泥湯温泉などもお盆が近くなれば、湯治客もみんな家に帰るもんだがらガラガラ。今は逆に満員だすべ…」。こう教えてくれたのは湯沢市高松地区に住む高橋ヤスさん(78)。ヤスさんは戦後間もない頃から地元で助産婦をしてきた方だ。
 「8月になれば、どごの家でもお盆の準備が始まった。1日は仏壇で使う抹香を作る日。カツラの木の葉っぱをむしって天気のいい日に干せば、1日でカラカラになる。それをウスでついて、ふるいにかける。こうして1年間使う量を一度に作ったもんなの。私の家でだば、今でも抹香を作ってるよ」とヤスさん。
 7日の朝はお墓の掃除をしてから赤飯を供える。10日は自宅近くの草むしり。11日はキキョウ、オミナエシ、ハギなどの盆花採り。これらの作業は地区のどの家も一緒だったという。これらの作業の合間をぬって、お仏様用のスダレも編まなければならない。
 「今だば何でも買える時代だども、昔だばトコロテンもエゴも自分の家で作ったもんだよ。テン草やエゴ草を買ってきて、グツグツ煮てな。お仏様は精進料理でいいども、大変なのはお客さんや親戚の人たちに出す料理。冷蔵庫なのない時代だし、夏場だすべ。干したカスベやホタテなんかを買ってきて、水で戻してから料理したもんだよ。でも、子どもたちは浴衣に新しい下駄っこはいて喜ぶし、嫁に行った妹たちも戻って来るし、あの頃のお盆は本当に楽しかったなぁ」と、ヤスさんは当時のことを懐かしむ。
 もうすぐお盆、スーパーでは盆花の花束や「お盆用皿盛り承ります」の張り紙が目につくようになる。お盆も40年ほど前とは大きく様変わりした。


前年同月
前月 INDEX 翌月
翌年同月

Home