2003年7月  ●●● ハチミツ求めて小坂町へ 「ここは第二のふる里です」 ●●●

ハチミツ 「今年は良く咲いてくれましたねぇ。昨年の倍以上じゃないですかねぇ」と本当にうれしそうに語ってくれたのは荒木正博さん(63)。静岡県浜松市から小坂町にアカシアの花を求めてやってきた養蜂家だ。毎年、花が咲く頃になると県内はもちろん、遠くは鹿児島県など全国各地からミツバチを連れた養蜂家が小坂町を訪れる。今年は県内外合わせて約30の業者がやってきた。
 荒木さんが初めて小坂町にやってきたのは昭和33年。父親と一緒に貨車にハチの巣箱と巣箱を冷やすための氷を積み込んでの汽車の旅だったという。トラックを使うようになったのは二年後の同35年から。
 「当時、仙台からこちらは舗装道路なんかほとんどなかったですねぇ。荷台に風を入れないとハチが弱るので、36時間も走りっぱなし。そりゃ、疲れましたよ。それが今では高速道路を使えば、ゆっくり走っても約15時間でついてしまいますからねぇ」
 今年は5月31日に小坂入りした荒木さんだが、直前まで浜松近郊のミカン畑でミカンのハチミツを集めていたという。養蜂家の中には他の花を求めてさらに北上する人もいるが、荒木さんはここが最北地。昭和38年、小坂町に住まい兼作業場を建て、11月中旬までこの地でハチたちの世話をすることにしたからだ。
 「昔はねぇ、旅に出ると半年は自宅に帰れなかったもんですよ。子どものことが心配でねぇ。でも最近は便利になったので、花が終わるとちょこちょこ浜松に帰ってます。結婚直後から来てますから、今年で31年目。小坂町は私の第二のふる里みたいなもんですよ」と節子さんも感慨ぶかげだ。
 荒木さん夫婦が運んできた巣箱は240個。一つの巣箱には5万から6万匹のハチが住んでいるという。花の最盛期には毎日のようにハチミツをしぼる。その後には来年の働きハチを増やす作業が待っている。


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